教員紹介

人間環境学部教員コラム vol.42

2010.02.11 人間環境デザイン学科 杉田 正樹

人間環境デザイン学科 杉田正樹ゼミナール(タグラグビーの卒論)

「タグラグビーの卒論」

人間環境デザイン学科では、卒業時には卒業論文か卒業作品を提出することになっている。4年間の大学生活の総決算だが、これがなかなか大変である。

提出間近になると、学生たちの顔が変わってくる。ほとんどだれもが、必死の形相になってくる。

私のゼミでは、ラグビー部の2人、岡村君と竹内君が、「タグラグビーの教育的効果」というテーマで卒論を書いた。

彼らは出前授業で小学校にタグラグビーを教えに行き、また大学のグランドではラグビースクールで子どもたちを指導している。タグラグビーの大会では、審判をしたり、会場整理をしたりしている。それをテーマにした訳だ。

 

 

その経験を生かして、子どもたち、親御さんたち、ラグビー部の学生たち、コーチの方々などからアンケートをとり、タグラグビーが、知育、体育、徳育のバランスがとれた教育ツールであることを論じたのである。

周りの学生や選手たちが彼らを助けた。早朝練習があり、試合があり、就職活動もある。その忙しいなかでの執筆であった。最後は研究室で徹夜をしたようだ。

先行研究もなくはないが、主として体育の先生方による、技術的なものが多く、彼らのような立場と観点からの論文はないようである。多分、世界初ではなかろうか。(別に、世界初だからと言って、優れているという訳ではないが。)

書く過程で、彼らは自分たちがやってきたことを、改めて考え直したようだ。先輩たちがやってきたことを引き継ぎ、それを次に伝えていくことの大切さと、それに参加していることの喜びをかみしめたようだ。その意識は、大学のラグビー部にとどまらず、さらにラグビーの歴史の流れにまで及んだはずであって、1823年に、サッカーボールをもって走ったウィリアム・W・エリス少年にまでさかのぼったかも知れない。

子どもたちが喜んでいる姿のなかに、自分が初めてラグビーを始めた時のことを思い出したようだ。こんなに楽しいものをもっと多くの子どもたちに味わってもらいたい。その一念が、かれらを突き動かしている。子どもの喜びはエリス君の喜びと同じである。

書きながら、そういうことに気がついていく彼らを見るのは、教師としては快感である。冥利に尽きるとはこのことだ。それは、私が2500年以上も続いている哲学の大きな流れのなかにいることの幸せを感じていることと、同じかも知れない。私の驚きが古代ギリシアのターレスの驚きと同じであるように。

それはともかく、卒論発表会が12月23日にあった。それに備えて、彼らは、3年のゼミ生の前で練習をした。ラグビー部の寮でもやったはずである。

さてその成果は、私が言うのもなんだか、なかなかのものであった。私は大いに満足し、2人と堅い握手を交わした。その彼らの手のひらは汗でびっしょりだった。発表時は無我夢中で、気がついたら終わっていたというところであろう。大観衆にはビクともしない彼らも、発表会は苦手のようだ。

彼らは、これから社会に飛び立つ。選手として活躍しながら、地域の子どもたちにタグラグビーやラグビーを教えるはずである。こうして関東学院のラグビー部の魂が伝わっていくのである。おびただしい数の子どもたちに笑顔が次々と広がっていくのだ。考えただけでも嬉しくなるではないか。

 

 

 

 このゼミは哲学のゼミです。万学の母である哲学の面目躍如で、私のゼミでは、テーマは何でもOKです。ごらんのように、タグラグビーでもへっちゃらです。私のゼミの魂は、さて、伝わるものであるかどうか。

 

 

 

 ついでに述べれば、2004年に設立された、NPO「横濱ラグビーアカデミー」(会長春口廣、前関東学院大学ラグビー部監督、経済学部教授)は、主として神奈川県下の小学校に出張講習を行っています。その数は、年間のべ100校を超え、のべ約1万人の子どもたちに、タグラグビーを試合ができるところまで教えています。

 

 

杉田 正樹(人間環境デザイン学科)
URL: http://home.kanto-gakuin.ac.jp/~msugita/

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