教員紹介

人間環境学部教員コラム vol.172

2015.04.23 人間環境デザイン学科 二宮 咲子

「豊かな暮らしを考える」3泊4日の自然体験合宿

皆さんは、キャンプをしたことはありますか。川で泳いで魚をとったり、星空の下で焚火を囲み肩を寄せ合って歌ったり、時を忘れて語り合ったりしたことはありますか。
100名ほどの学生が受講する「生態系保全」という授業のなかで尋ねてみたところ、ほんの数名の手しかあがりませんでした。
また別の授業のなかでは、「山賊キャンプ」という小学生対象の自然体験教育プログラムをビデオ映像で紹介したことがあります。“私も自然体験キャンプに参加したい”“小学生のときに参加していたら、もっと違った人間になっていたのではないか”と感想を書いた学生が何人もいました。

 

そこで私は、人間環境デザイン学科の専門科目「フィールドスタディ」という授業のなかで大学生を対象とした自然体験キャンプを企画することにしました。
授業ですから、相応のプログラムをつくる必要があります。調べてみたところ、小・中学生対象のものは多いのですが、大学・高等教育課程の参考になる前例はみつかりませんでした。そこで、前述の「山賊キャンプ」等、小・中学生を対象に30年以上の実績をもつNPO法人自然体験教育センターの齋藤新氏に相談。約1年間かけて、大学生を対象とした自然体験教育プログラム「豊かな暮らしを考える合宿」を共同開発しました。(詳細は、二宮咲子・今井葉子「他者と共生する力を育む自然体験教育プログラム及び評価方法の開発」関東学院大学人間環境学会紀要第23号所収をご覧ください)

 

合宿は、2014年9月9日から12日までの3泊4日、長野県泰阜村のNPO法人自然体験教育センター合宿所及びキャンプフィールドにて行いました。参加した学生は2年生から4年生までの14名。お互いに初めて知り合うメンバーもいました。
小・中学生とは異なり、“子ども”ではない成人年齢の大学生が、大学・高等教育課程の専門科目として自然体験キャンプを実施することに果たしてどれだけの教育効果があるのでしょうか。私も正直、多少の不安はありました。しかし、参加してくれた学生たちが合宿中にみせてくれた真剣な眼差し、弾ける笑顔、そしてレポートに書かれた、一人ひとりの力強い言葉に、私は大いに励まされました。大学生の今だからこそ、「豊かな暮らしとは何か」を考える自然体験教育が重要なのではないか。3泊4日の合宿を企画しようと決心してから1年後、無事に実施することができて本当によかったと思いました。

 

「自分は今回のキャンプで当たり前の当たり前じゃなさ、それでもやろうとすれば何とかなる。ないものは作ればいいと今までとは違う考え方を持てるようになった。火おこしや、魚の捕まえ方、手で魚の腸を抜く方法など初めて知ったことも多いが、何よりも考え方が変わっていくというのは自分にとって大きな変化だった」(人間環境デザイン学科2年生)

 

「火や水を使えるありがたみはもちろん、人のためにする仕事の大切さを感じました。学んだことは「やってみる」、「何とかなる」、「協力する」ということです。「やってみる」というのは思いついたことをこれでいいのかと考える前に行動しないと何が出来るか出来ないかもわからないのでやってみて駄目だったら違う方法を考えればいいという事です。「何とかなる」は私たちの族は忘れ物をしましたが、箸は竹で作れたし網は石を置いて何とかなった。忘れ物の中には実は無くても良いものもあったのかもしれないと感じ、いつもは無いと困るものも実際は無くても何とかなるのだと学びました。「協力する」というのは「何とかなる」とは言っても忘れた物をもう1つの族に借り、族の中でも自分に出来ないこと出来る人に頼りました。また、やって欲しいと言われたらをやってあげようという気持ちにもなりました。人を頼ることや頼られることで信頼関係が成り立ち、協力できるのだと学びました。更に信頼というのは時間をかけることで成り立つ物では無いんだと学びました」(人間環境デザイン学科3年生)

 

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木だけをつかった火種づくり     20回超の火種をつくり、6時間かかった火おこし

 

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岩陰に潜む川魚を狙い、手づかみでいく 川魚をさばく手もとに真剣に見入る

 

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モノがなくても、山の竹でつくればいい キャンプでの夕食の準備

 

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山の夕食は食材使い切り「団結食い」が基本 荷物は人力で運ぶため最小限にしなければならない

 

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「豊かな暮らしを考える合宿」最終日 豊かさとは仲間、感謝、信頼、実感、自然、時間・・・

 

(写真提供:NPO法人グリーンウッド自然体験教育センター)

 

 

二宮 咲子(人間環境デザイン学科)

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