教員紹介

人間環境学部教員コラム vol.135

2013.11.21 現代コミュニケーション学科 金子 義幸

1万円の帽子は高いですか?

少し前、伝統の職人技を継承しつつ、新たな発展の道を考えるという趣旨で「職人学会」が開かれました(青森県八戸市で)。たくさんの職人の方が集まりましたが、そのなかで織物職人の方から説明を聴くことができましたので、少しご紹介します。
お話によると、ここ南部地方は、夏に吹く《やませ》によって、たびたび冷害に見舞われました。このような厳しい自然ですから、なかなか産業は育たず、土地の人はずっと貧しい生活を強いられていました。江戸時代、八戸地方では衣料が簡単には入手できません。着物は関西から仕入れているために大変高価です。着古した着物や古布も着物やこたつ掛け、物入れなどにもう一度作り替えて利用するという機織り技法が生まれました。古着を細かく裂いて横糸にして木綿糸を縦糸に地機で織ります。それが南部の裂織(さきおり)です。多くの農家では女性の大事な冬の仕事となっていたそうです。丈夫で暖かく、たくさんの布を裂いているため彩り豊かで複雑な織り上がりです。また、ここでは馬(日本古来の馬として有名ですが)を使って農業にあたっていました。そこで古くなった馬具や荷車を部品として、その家の旦那さんが織機をハンドメイドで作ってあげたそうです。材料と製造器具の二重の意味で、これこそ究極のエコだと納得しました。もっとも今では古着を探す方が一苦労かも知れません。また、現在の裂織は伝統工芸品らしい値段がついています。そこで、質問ですが、こうして織られた1万円の帽子は高いですか。
ここで思うのはエコ商品。資源を再利用する商品は、有限な資源を絶やさないようにしよう、将来の人々にもこの地球の豊かさを伝えようという思いで生産されています。伝統工芸のように歴史を感じそこに特別の価値を見いだすのと同じように、将来の人たちの暮らしを考えた地球にやさしい商品や再生資源利用商品についても、しっかりと価値を認識すべきではないでしょうか。ただ高いか安いかで買うか買わないかを決めるのはどうでしょう。また、同じような意味で、たとえば風力発電の電気料金は一体何を表しているのでしょうか。環境を守ることの価値についても考えてみましょう。

 

 

金子 義幸(現代コミュニケーション学科)

  • 一覧に戻る
PAGE TOP
〒236-8501 横浜市金沢区六浦東1-50-1 TEL:045(786)7002
Copyright(c)2013 Kanto Gakuin University All rights reserved.