教員紹介

人間環境学部教員コラム vol.97

2012.05.10 現代コミュニケーション学科 牧野 ひろ子

ミニ演習用紙

21センチ×15センチの「ミニ演習用紙」。授業中10分くらいで、質問や感想を書いてもらっていますが、私はこれを読むのがいつも楽しみです。現代コミュニケーション学科春学期配当科目の「日本の地域文化」は、この数年「金沢文庫」「金沢八景」をテーマにしています。殊にこの2、3年は「徒然草」「小栗判官照手姫伝説」を中心に、15回の授業中2回以上、ゆかりの場所を歩いています。

 

 

兼好が庵を結んでいたとも伝えられる、上行寺遺跡に行ったのは、「青嵐(あおあらし)」と呼ぶにふさわしいような、5月末の風のある晴れた午後でした。京急のガードをくぐり、閑静な住宅地の奥にある六浦藩主米倉家の墓地を見てから、上行寺跡に上りました。その日の感想をひとつ紹介します。

 

 

〈六浦に殿様がいたとは知りませんでした。墓地に入ると大木がざわざわと鳴っていて、『いきなりトトロの世界!』という感じでしたね。上行寺遺跡の首の取れた石仏は不気味でした〉

 

 

(↑『武陽金沢八景略図』明治期に『千代本』が刊行していたもの。関東学院大学図書館人間環境学部分館蔵)

 

 

今年は、「徒然草」に(甲香は、ほら貝のやうなるが、小さくて、口のほどの細長にして出でたる貝のふたなり。武蔵国金沢といふ浦に有りしを、、、)(34段)と記された、「金沢の浦」を訪ねて、海の公園に行ってみようかと考えています。昭和30年代、公園になる前の乙舳海岸では、美しい貝がらや海藻、海ほおずきなどが、たくさん取れたものでした。今では、殆んど見られなくなったことが、残念です。

 

 

昨年7月、梅雨の晴れ間で35度に気温が上がった日、瀬戸神社、琵琶島弁天、憲法草創の碑、旅館東屋跡、照手姫ゆかりの松などを、見学しました。「なるべく日陰を歩くように!」、「水分をまめに摂って!」などと皆に声をかけながら、私自身が熱中症にならずに学校に帰り着かなくてはと、不安で一杯でした。翌週、次のような文を読んで、疲れも飛びましたが。

 

 

〈僕は金沢区に生まれて育ち、今も自転車で通学しています。でも、16号線近くの小さな松林に照手姫が流されて来た話が伝わっていたり、江戸時代の高い土木技術を示す水門跡が残っていたりすることを先週の散歩で知って、驚きました。あれ以来、新瀬戸橋を渡る時には、松林に眼を向けるようになりました〉

 

 

〈私は海のない県からこの大学に進学して、来年は卒業です。「琵琶島弁天あたりが、一番昔の金沢八景の趣を残している」とは聞いていましたが、社のある先端まで行ったのは初めてでした。意外なくらい海水が澄んでいて、小さな魚が群れになって泳いでいたり、大きな魚が跳ねていたりするのを見ました。蟹が、せわしなく石垣の穴を出入りしているのも、新鮮でした。卒業までにこの金沢付近のことをもっと知りたい、と今は思っています〉

 

 

「食文化史」をはじめ、他の授業にも、楽しい感想やおもしろい質問がいろいろあります。また機会があったら、ご紹介します。

 

 

牧野 ひろ子(現代コミュニケーション学科)

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